自転車ロードレースの最高峰、UCIワールドツアーでは、現在「春のクラシック」シリーズ真っ最中。
自転車のロードレースと言えば、ツール・ド・フランスは知っているという人が多いだろう。それと同じくらい古く(100年前くらい)伝統があるレースが、クラシックレースだ。
ツール・ド・フランスと違ってクラシックレースは1日で勝負を決める「ワンデーレース」。1日200〜300kmを走って、一番先にゴールした人が優勝する。東京を出発して、浜松や郡山を通り越したあたりがゴールという距離感。
舞台の中心は、フランスとベルギー、オランダにまたがる美しい丘陵地帯。北フランスから、ベルギーフランドル地方やアルデンヌ地方である。

うねるように連なる丘の美しい麦畑。その中を曲がりくねって進む田舎道。古くて車も走るのが大変なくらい荒れた石畳の「パヴェ」と呼ばれる道が、選手達を苦しめる。
一直線の並木道は強い横風で、選手達をばらばらにする。晴れれば黄色い花畑が選手を癒してくれるが、天候が荒れれば一転して泥まみれの落車の連続。厳しいパヴェが売りのパリ〜トゥールというレースは別名「北の地獄」とも言われる。
毎年テレビでレースを見るたびに、レースの激しさや面白さと同時に、その風景の美しさに目を奪われる。

そんな美しい景色のヨーロッパのロードレースの舞台をいつか自分の自転車で走ってみたいものだ。

ということで行ってきました。北フランスからアルデンヌ地方自転車の旅。「麦畑を走っておいしいワインを飲む」。







すぐにばれただろうか… それともうまくだませただろうか。
もちろんここは日本。
しかも東京から1時間ほどで行ける栃木県南部。

僕もあまり知らなかったが、栃木県は、日本でも有数の麦の産地らしい。お隣群馬県も、茨城県もそうらしい。
水田も多いが、麦畑が思いの外多いのだ。
しかも、関東平野といっても、意外に平ではなく、まさにヨーロッパの丘陵地帯のように、土地がうねっている。(だから水田ではなく麦なのだろう)
僕の生まれ育った仙台平野など、米どころの風景にはない景色だ。

気づいてしまった。これはまさに日本のアルデンヌ地方ではないか。

今回は栃木市から南へ、渡瀬遊水池まで、新緑の麦畑の中をサイクリング。気分は「春のクラシック」を巡る旅だ。
栃木の土地柄、途中にはぶどう畑も多く、さらにヨーロッパの雰囲気を強めている。






一般道を通っていても、ほとんど車にもすれ違わず、人にも出会わず…
渡瀬遊水池に到着。






ここもまた日本とは思えない広大な風景が広がる。
日本の地平線は北海道だけのものではなかった…
東京のすぐそばでもこんな風景が見れるのだ。

菜の花の道は走っていて臭いでむせかえるほど。



これはまさにベルギーフランドル地方の農道。
横風に悩まされて、選手達が分断される区間だ。







今年から、ツール・ド・栃木というレースもはじまった。
栃木は、伝統的な日本の自転車ロードレースの最高峰「ジャパンカップ」があり、宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼンなど、地元に密着したプロロードレースチームもあり、県をあげて自転車の街をアピールしている。

自転車ロードレースの本場、ヨーロッパでのロードレーステレビ中継は、その美しい風景を世界中に紹介するという意味合いも強い。必ずヘリコプターが飛び、空から地上からレースの状況とともに、美しい風景を映し、観光地や遺跡、名勝、景勝地は、テロップやVTRで詳しく紹介される。
それを見ていると、田舎を走っても街を走っても、その美しさに、とても日本はかなわないな、と思わされるのだが、今回のような道を走っていると、日本でもこういう場所を探して、いいロードレースコースを作って、世界中に放送できる中継ができるのではないかと思えたりもする。もちろんヨーロッパのような風景だけでなく、日本らしい風景も含めて。






※おまけ
渡良瀬川河川敷の菜の花があまりにも美しかったです。