並木橋の古城アマランス・ラウンジは絢爛たる美と享楽の館、人々の心に眠るノスタルジーと、遊びに対するロマンティシズムが打ち建てた、壮麗な夢と快楽の大伽藍である。夜毎にエスカレートしていく乱痴気騒ぎに集う人種の顔ぶれはキラボシの如く。彼らの纏う豪華な衣装と独創的なダンスには毎度息をのむばかり。熱に浮かされたフロアには紳士淑女に美貌のクィーン、海外からのジェット・セットや億万長者に踊り子、ハスラー、アーティスト達。ひっきりなしの乾杯とゴージャス極まる選曲が人々のテンションをめくるめく高みに押し上げていく。小人のマジシャンがテーブルを回り、男装の麗人がシャンパン・ボトルを剣で抜くと突然始まるシャンソン・ショウ。フラッパーのタバコ・ガールにソンブレロのショット娘。黒いプードルを連れた貴婦人と腕を組むのは白い付け睫のイヴ・サンローラン。宴たけなわのうちに夜が明け、東京のシック達は窓から差し込む朝日を受けて、チャイコフスキーのワルツを踊る。今、これらの「美」と「スタイル」を尊ぶ、多幸性のならずもの達を[並木族]と呼ぶらしい。
AMARANTH LOUNGE owner 辻中純一郎

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